「ヒストリー・オブ・マッドマックス 映画の超暴力」
過去にも何度か紹介してきたメルヴィン・ゼッド氏による『マッドマックス』研究本「MAD MAX – ULTRAVIOLENCE DANS LE CINÉMA, PARTIE 1」、待望の邦訳化が実現しました。
「ヒストリー・オブ・マッドマックス 映画の超暴力」
著者:メルヴィン・ゼッド
出版社:K&Bパブリッシャーズ
発売日:2024年12月17日
項数:432ページ
寸法:3.7 x 19 x 26.4 cm
価格:13,750円
当方は邦訳監修として参加いたしました。
今回の邦訳版、タイトルも独自のものとなり、カバーデザインも日本向けの分かりやすいデザインに変更。内容については、原書とページ数は同じですが、A4判からB5判にサイズダウンした分、画像点数は少し減り、テキストも若干要約で減らした箇所があります。
それでも圧倒的な情報量の一冊で、単なる『マッドマックス』メイキング本ではなく、オーストラリア文化史、ジョージ・ミラーの様々な発言他、様々な視点で楽しめる圧巻の研究本となっています。
内容は以下
第一章 ミラーとケネディ
ジョージ・ミラーとバイロン・ケネディがどのような出会いを果たし、『マッドマックス』へと向かっていくか。天才的な資質を持つ二人と、特殊な状況下にあったオーストラリア映画業界の関係。
第二章 製作準備
ふたりが『マッドマックス』製作へと動き始める経過。スタッフ集めとキャスティング。メル・ギブソンとの出会い。影響を受けたものなど。
第三章 撮影
予算も人もいない、苦難続きの撮影。ミラーとスタッフの対立。トラブルを経て凄い映像が次々生まれる。混沌の中の様々なエピソードと、ジョージ・ミラーの資質。バイロン・ケネディの役割。
第四章 編集作業
撮影は終わり、公開まで1年かけて編集作業が進む。この時点で関わった人間の多くは、この映画が完成するとは思っていなかった。
オリジナル脚本と本編との比較。
第五章 公開
公開するやまさかの特大ヒット。その人気は国外に飛び火し、世界的なサクセスを掴む事になるミラーとバイロン。オーストラリア映画界における革命的出来事。一方で、海外では予想外の批判も起こり、R指定、X指定、上映禁止の憂き目に合うことにも。
第六章 自己批評
各所でなされた、作品の仕上がりに対してのミラーによるネガティブな発言の数々。
第七章 批評
各国の『マッドマックス』に関する批評、批判のまとめ
第八章 分析
著者メルヴィンによる『マッドマックス』解読
付録
●ロケ地マップ
●トリビア集
●各国の映像ソフト、サントラ、映画宣材など
以上となります。
これまで我々ファンが『マッドマックス』というものに対して持っていた漠然とした、「こいうものだろう」という考えが吹き飛ぶ一冊である事は間違いありません。思った以上に緻密に考えられ、他の映画からの引用が多く、しかし想像以上にカオスの中で作られた作品であり、オーストラリア映画界に与えた影響は計り知れない、という事が明らかになります。
また、ジョージ・ミラーの考えるものがスタッフに伝わらない状況が、後の『怒りのデス・ロード』でキャストとの間に発生した軋轢をそのまま思い出させます。これは非常に興味深い部分です。
メルヴィンは可能な限りオーストラリアで関係者インタビューを重ね、各国の記事を収集し、それらの情報をパズルのように組み立て、メイキング話に終始しないストーリーを紡ぎ出します。そして何より彼自身の『マッドマックス』解析自体も大きな見どころになっています。
たかが93分のちっぽけなB級カーチェイス映画に、なぜ400ページを超える紙数が必要なのか?あなたの目で是非確かめてください。
2025年の1月終わり、彼は来日予定なので、マッドマックス・コンベンションとしてイベント企画中です。ご期待ください!
また、2024年12月8日、当方主催のイベント「アメイジング商店街V9」では、入場者に「ヒストリー・オブ・マッドマックス」の独自制作チラシを配布させていただきます。トークコーナーでも扱いますので、是非ご来場ください!