2024年公開「マッドマックス:フュリオサ」トレーラー公開!

永らく開店休業状態だった当ブログですが、ジョージ・ミラー監督『マッドマックス:フュリオサ』の公開が遂に見えてきたところで、心機一転、活動再開です。2024年(夏?)公開まで盛り上がっていきましょう!

ワーナー・ブラザース告知

私が個人的に今の段階で気になっているところ


タイトルに『マッドマックス』の文言が入ったこと

これはもちろん前作『怒りのデス・ロード』とのつながりを明示する興行上の要請が一番だと思うのですが、果たして登場しもしないマックスをタイトルに入れるでしょうか? 原題は『FURIOSA A MAD MAX SAGA』。
撮影中、数々流れてきたリーク映像の中に、インターセプターのテール部分を見せるものがありましたので、何らかの形でマックスの姿を見る事ができるのではないかと個人的には予想します。
『怒りのデス・ロード』の際も、撮影中のリーク画像でインターセプターらしい形を持ったフォード・ファルコンの画像がありました(実際にはレイザーコーラでした)。あの時は「まさか2でとっくに壊れたインターセプターが出てくる訳がない」とこちらも思っているのに、本編ではのっけから登場し、壊され、更にそれが改造されてマックスの敵になるという、豪快なアクロバットを見せてくれました。ジョージ・ミラー自体はあの車に、特に執着はないように思いますが、これこそ興行上の要請に応えつつ、いい感じで自分好みの形でスカしたという処理だったのではないでしょうか。
今回も前作とのつながりから、マッドマックス要素をフィーチャーしたものを登場させて、スタジオや観客の期待に少し応えつつ、絶妙にハズしてくるように思えてなりません。逆に、あまりがっつりマックスの前史まで絡めてくると、世界が狭まってよろしくないと思いますし。


●世界の崩壊から45年後…

マッドマックス・シリーズにおいて、こういう数字が出るのは初めてです。『マッドマックス2』での二大大国の戦争に始まる石油パニック、『〜サンダードーム』での核戦争後の世界、そこからつながる『怒りのデス・ロード』の世界観。コミック版も含め、いずれも年代が特定されていないものでした。が故に、ファンタジー性を保てていたように思います。それを今回、年数を明示した事に対しては、個人的に戸惑いがあります。
「じゃあ、トム・ハーディが演じたマックス・ロカタンスキーは何歳なんだよ!」もちろん、そんな事は我らがマスターマインド、ジョージ・ミラーも承知の上でやってる事でしょうが。


●アニメ版企画の映画化

『フュリオサ』の物語自体は00年代後半、『怒りのデス・ロード』と並行し、日本のアニメーター、演出家である前田真宏さんの元で製作されかけたアニメーション版がベースになっています。

こちら『怒りのデス・ロード』公開後の月刊ニュータイプによる前田真宏さんインタビュー。
2015年のインタビュー1
2015年のインタビュー2
2015年のインタビュー3

『怒りのデス・ロード』自体、かなりの難産でしたが、この『フュリオサ』も、一旦ストップした企画を、15年近くの時を経て具現化させたものなので、やはり前作のような熟成みが感じられる作品になるのではないかと、個人的に期待しています。
ちなみに私も、2015年当時、ムック「映画秘宝EX マッドマックス・ムービーズ」に少々関わらせていただき、その際の前田真宏さんインタビューにも同席したのです。
そこで前田さんが描かれた数々のコンセプトアートを拝見したのですが、「これらの絵はいつ再利用されるか分からないものなので、公にできない」という事で、冊子への掲載は不可でした。中にはフュリオサが腕を失う際のコンテなども!
アニメの企画は頓挫したものの、前田さんのコンセプトアートの色々な部分が、最終的に『怒りのデス・ロード』に転用されているのは明らかです。今回の『マッドマックス:フュリオサ』公開で、断片ではなく、本格的に前田さんが描いたデザイン、絵が世に出るのではないかと期待しています。


●フュリオサの“ODYSSEY”

本作は、これまでのマッドマックス映画のように数日間の物語ではなく15年に及ぶフュリオサの物語であると、かねてよりアピールされていました。トレーラーを見ると、『怒りのデス・ロード』とは少々異なって、CGIに頼る部分が目につき、正直、少し物足りない印象もあります(完成版にはもっと情報量が足されると思いますが)。
『フュリオサ』のロケ地はすべてオーストラリア国内。なので、前作と世界観が地続きなので、南アフリカ・ナミビアのあの感じに寄せる意味もあり、グリーンバックの多用はやむなしという部分があるでしょう。それに、寒暖差と砂埃が激しい過酷なナミビアの砂漠で、半年以上スタッフ・キャストが缶詰になって製作したあの『怒りのデス・ロード』に近い絵など、作れようもない気がします。
むしろこの『フュリオサ』のトレーラーのルックから連想されるのは、ジョージ・ミラー監督の前作『アラビアンナイト 三千年の願い』であると感じた人も多いのではないでしょうか。
ミラー監督はかねてより、神話についてこだわりがあり、それが『2』以降のマックスの物語に横たわっていました。『〜三千年の願い』は、物語、または物語る事をテーマにした非常に意欲的でオンリーワンな作品となりましたが、今回は数日間のアクション譚ではなく、フュリオサの「物語」であるという事で、ニュアンスとしては、『〜三千年の願い』の延長にある作品が出てくるのではないかと個人的には予想しています。そこにいい感じにアクションを混ぜる、みたいな。


●二度と同じ事をしないジョージ・ミラー


いくら好評を得たからといって、前作と同じ事をしないのがジョージ・ミラー監督です。今回も当然、『怒りのデス・ロード』の拡大 or 縮小再生産ではないでしょう。自分は今のところ、バトルシーンを織り交ぜた『三千年の願い』を脳内で思い浮かべていますが、まあ自分程度の頭で考えられるものをジョージ・ミラー監督が出してくる訳がありません。
『怒りのデス・ロード』の時なんて、公開前、流れてくる情報を見ている段階では、日々落胆の思いが強まり、何も期待してませんでしたし。で、本編を見て豪快な掌返しという。
ああいう興奮は再び味わえないだろうとは思うのですが、果たして何を見せてくれるのか。なんだかんだ予想がまったくつかないのがジョージ・ミラー作品の面白いところです。
今から公開まで半年以上。あれこれ妄想しながら、期待して待機しましょう!